WORKS

リノベーション

CAFE884

2018 岩出市

岩出市中心部にある1階テナントの一区画を、マッサージ店からスケルトン状態に戻し、カフェへとリノベーションしました。

岩出市にあるカフェで店長を務めていたH様は、日々の経験を通じて「自分だけのカフェを持ちたい」という夢を育まれてきました。お客様との会話、居心地の良い空間づくりへの探究心――そうした積み重ねが、やがて「理想をかたちにできる設計事務所、工務店を探そう」という決意につながりました。

H様の最初の願いは、ご自身の心に描いた理想の店舗を形にすることでした。しかし、その先にはさらに大きな想いがありました。それは「岩出市に根差す小さなカフェを起点に、人と街とをつなぎ、やがて街づくりへと発展させていきたい」という理念です。その確かな想いが、今回のプロジェクトの原点となっています。

そこで私たちは、H様の願い、そしてその奥にある街づくりへの想いを形にするために、幾度となく打合せを重ねました。素材の質感や色の組み合わせといった細部にまでこだわり、H様の思い描くカフェの姿が少しずつ形になっていきました。

店舗の顔となるファサードには、オーク材を用いた造作ドアと窓を据え、その存在感を際立たせました。外壁にはジョリパット塗装を施し、店舗のイメージカラーで表情を整えています。また、デッキにはイペ材を選び、年月とともに深まる風合いを楽しめるようにしました。

扉を開けて店内に入ると、真っ先に視線を惹きつけるのはカウンターの腰壁に貼られたイメージカラーのタイル。周囲にはパイン材やオーク材、タモ材といった木の素材を散りばめ、空間に温かみを添えました。壁面は清潔感のある白でまとめ、天井には艶消しの黒を配色することで、落ち着きとメリハリを感じさせるバランスの取れた空間を実現しています。

所々に配置した有孔ボードは、機能的でありながらデザインの一部として空間に溶け込み、見た目の美しさと使いやすさを兼ね備えています。

客席やホールに並ぶテーブルや椅子、棚などの家具は、H様が時間をかけて専門店を巡り、一つひとつ丁寧に選ばれたものです。そのこだわりの選定が、店内のデザインと響き合い、洗練されたバランスを生み出しています。

日が暮れるとともに灯る照明が店内をやさしく照らし出し、昼間にはない落ち着きと華やぎを感じさせる、もうひとつの表情豊かな空間をつくり出します。

物件情報

竣工 2018年5月

立地 岩出市高瀬66-2リーベン・ヴィラ山田102

建物種別 RC造5階建て1階テナント

建築面積 52.66㎡

設計監理 mnセッケイジムショ